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LIP勉強会レポート-CGAPが提唱するマイクロファイナンスの基本方針

(UN Photo/ Shareef Sarhan)

【LIP勉強会レポート-CGAPが提唱するマイクロファイナンスの基本方針】

LIPでは毎週土曜日にミーティングを行っており、マイクロファイナンスをテーマに勉強会をすることがあります。12/6(土)にはバングラデシュのBRAC大学の研修に参加したメンバーが、そこで学んだマイクロファイナンスの基本方針を紹介してくれました。この方針は貧困層支援協議グループ(CGAP)及び31の援助機関により作り上げられ、2004年のG8サミットでも取り上げられたものです。私達の勉強会の一部として、その基本方針を以下に紹介致します。

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【マイクロファイナンスの基本方針】

貧困層が求める金融サービスはローンだけではない

世の中の全ての人々同様、貧しい人々も便利で、柔軟で、リーズナブルな、幅広い金融サービスを必要としています。置かれている環境によって、彼らはローンだけではなく、貯金、送金、保険なども必要とします。

マイクロファイナンスは貧困対策の強力なツールとなる

サステイナブルな金融サービスへのアクセスは、貧しい人々に所得増加や資産の貯蓄、外部からのショックに対する脆弱性軽減といった恩恵を与えます。マイクロファイナンスは将来に備えた計画設計、栄養への投資、生活環境改善、子供の健康や教育の向上などを通して、貧しい家庭に日々の貧窮から脱却する「きっかけ」となり得ます。

マイクロファイナンスとは、貧しい人々のための金融システム構築である

途上国では、今でも貧困下に暮らす人が多数を占めています。そのような人々の多くは、基本的な金融サービスにアクセスすることすらできません。多くの国では、マイクロファイナンスはドナーや政府、社会的責任のある投資家が関心を寄せる、やや特殊であまり主流ではない金融機関という見方がまだ根強くあります。しかしマイクロファイナンスが、そのポテンシャルを最大限に活かして貧困層にサービスを普及させるために、金融セクターの中心的役割となる必要があります。

マイクロファイナンス機関の財政的健全性の必要性

貧困層の殆どに金融サービスが行き届いていない理由として、貧困層と金融サービスを繋ぐ、財政的に強固な金融仲介業者が足りていないことがあります。財政的にサステイナブルな金融機関の設立は、設立自体がゴールではありません。多くの人々にサービスを届けたり、援助資金から想定される効果を遥かに超えたインパクトを与えたりするための唯一の手段です。ここでのサステイナビリティとは、マイクロファイナンス提供側が全てのコストをカバーし得る能力を指しており、それを達成してこそ継続的な運営や、現在行っている貧しい人々への金融サービス提供が可能になります。財政的サステイナビリティの実現には、取引コストの削減、顧客ニーズに合ったより良い商品・サービスの提供、金融アクセスのない貧困層にリーチする新たな方法の探求が求められます。

マイクロファイナンスは長期に存続する地域金融システムの構築に繋がる

貧困層への金融システム構築—それは貧しい人々に、永続的な金融サービスを提供できる、健全な国内金融機関を作り上げることです。そのような機関には国内市場における貯蓄の活性化、ローンサービスの拡充など、幅広いサービス提供が可能であることが望まれます。そして、地域金融機関や民間の資本市場が成熟すれば、これまでの援助頼みの体質から徐々に脱却できるでしょう。

マイクロクレジットは常に“最善”ではない

全ての人にとって、全ての状況において、マイクロクレジットが適切な手段とは限りません。例えば返済手段がないほど貧しい人にとっては、食糧支援などの方が有効という場合もあります。寄付金、インフラ改善、雇用創出や職業訓練などの他の金融以外のサービスの方が、貧困削減に適している可能性もあります。しかしこのような金融以外の貧困削減手法は、可能な限り財産貯蓄と併用することで、より効力を発揮すると考えられます。

上限金利は貧困層の金融サービス利用に対する障害物となりうる

金融機関にとって、少数の高額ローンよりも多数の少額ローンを提供する方が大幅なコストがかかります。マイクロファイナンス機関は、平均的水準よりもある程度高い貸出金利を請求しなければ、コストをカバーすることができず、企業成長どころか存続も危うくなってしまいます。政府が貸出金利の上限を制限する場合、金融機関のコストに見合わない程の低いレベルに金利を抑えてしまいます。一方で、マイクロファイナンス機関は非効率な運営から生じるコストを、金利や別費用として顧客に転嫁するべきではなく、運営の効率化に重点を置くべきです。

政府は実現の後押し役であり、金融サービスの直接の提供者ではない

政府は貧困層の貯蓄を守り、金融サービス発展のための政策を整える、という重要な役割を担っています。マイクロファイナンスの発展に政府が貢献できる重要なこととして、経済安定化、上限金利を設けないこと、高い延滞利息付きローンに伴う金融市場の歪みを回避することがあります。他にも起業家のためのビジネス環境改善や汚職の取り締まり、市場へのアクセス改善といったことも、貧しい人々への金融サービス提供を後押しするでしょう。特別なケースとして、健全で独立したマイクロファイナンス機関が資金不足に陥っている場合には、政府からの財政支援も効果的かもしれません。

ドナーからの補助金は、民間資金と競合するのではなく、補完し合うべき

ドナーは適切な補助金、ローンや株式を用いて、金融業界の制度能力向上や、金融サービス支援のためのインフラ(格付会社、信用調査機関、会計機関など)の発展、試験的なサービスや商品へのサポートに寄与すべきです。また、長期にわたる寄付金は、サービスが行き届かない人々にリーチするために必要な場合もあります。それを効果的に行うには、ドナーからの補助金は、貧困層のための金融サービスを地方金融マーケットの枠組みに組み込むために活用されなくてはいけません。具体的には、専門家を採用してプロジェクトの設計と遂行に活かすこと、金融機関に対して継続的に支援を行う条件を提示すること、最初から支援終了時を見据えておくことが重要です。

組織的、人的キャパシティの不足が大きな障害に

マイクロファイナンスは、銀行サービスと、社会的目標及び(金融機関から始まり、規制機関、監督機関、情報システムを通じ、政府系開発団体や援助機関まで様々なレベルにおいて生じる)十分なキャパシティのニーズが組み合わされた特別な仕組みです。マイクロファイナンスセクターへの官民双方の投資は、このキャパシティビルディングに注力する必要があります。

金融及び社会面双方の透明性確保が重要

貧しい人々にサービスを提供する金融機関の、財務及び社会的パフォーマンスの情報は、正確であり、且つ誇張や歪曲されておらず、比較可能なものであることが非常に重要です。監督機関、規制機関、ドナーや投資家だけでなく、借り手である貧困層自身が適切にリスク・リターンを評価できるよう、それらを兼ね備えた情報を必要としています。

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世の中には、未だに金融サービスを受けられていない人は多く存在します。世界の成人人口の50%(約25億人)が正規な銀行の口座を保有していません。「世界金融開発報告書2014年版:金融サービスへのアクセス」では、金融サービスへのアクセス向上において、政府や市場の責任が改めて挙げられています。全ての人々に、サステイナブルな金融サービスを提供するためには、各ステークホルダーが自身の役割を認知し、責任を果たす必要があります。

今回の勉強会は、マイクロファイナンスの原点に立ち返って、私たちのやるべきことを冷静に見つめ直す貴重な機会となりました。来年もLiving in Peaceマイクロファイナンスプロジェクトでは、貧困削減に向けて真摯に活動して参ります。

それでは皆様よい年末年始をお過ごしください。

Living in Peaceマイクロファイナンスプロジェクト

【参照】

CGAP. (2004) “KEY PRINCIPLES OF MICROFINANCE”,
https://www.cgap.org/sites/default/files/CGAP-Consensus-Guidelines-Key-Principles-of-Microfinance-Jan-2004.pdf

CGAP. (2006) “Access for All: Building Inclusive Financial Systems”,
https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/6973/350310REV0Access0for0All01OFFICIAL0USE1.pdf?sequence=1

IBRD/The World Bank. (2014) “2014 Global Financial Development Report: Financial Inclusion”, World Bank Publications, Washington DC.