Non-Financial活動 Excel研修フォローアップ

Living in Peace(以下、LIP)のNon-Financialチームは、2020年の7~8月にかけて、ミャンマーのマイクロファイナンス機関であるMJI ENTERPRISE Co., Ltd(以下、MJI)のスタッフ向けに、グラフ・チャートにフォーカスしたMicrosoft Excelの自習問題を提供しました。この取り組みは、2019年11月にミャンマーのヤンゴンにて行ったExcel研修のフォローアップ活動です。 ヤンゴンでの活動についてはこちらをご覧ください。 Non-Financial活動 in Myanmar☆   2019年の研修ではスタッフのみなさんが一つの会場に集まり、その場でExcelの操作に関する質問や回答を行いましたが、2020年はCOVID-19 の影響でLIPメンバーの現地渡航が難しく、対面の研修を実施することができなくなりました。この様な環境でも効果的な研修を行い、スタッフの技能向上に貢献するため、研修方法を検討してきました。   「どうすれば非対面で効果的な研修ができるか。」 「現場で働くスタッフの実務に役立つスキルは何か。」   このような観点でMJIスタッフから意見を集めた結果、スタッフが作成する月次レポート(マイクロファイナンスを利用する顧客の推移や返済状況などをまとめたレポート)に掲載するグラフとチャートに重点をおいて、自習用の練習問題を提供することになりました。   これまでの月次レポートでは実績数値を表形式で記載していましたが、今回の活動によってデータを可視化できるようになり、レポートの品質向上につながりました。   研修に取り組んだスタッフからは、次の様な声が届きました。 ―2019年の研修で学んだグラフ・チャートの作り方の復習ができた。 ―研修が普段の仕事に直結する内容だったので、取り組みやすかった。 ―成績に応じて表彰されたので取り組むモチベーションにつながった。   今後も引き続き、資金面以外においてもマイクロファイナンス機関を支援し、貧困削減のためにLiving in Peace全員で活動していきます!

気候変動がもたらすマイクロファイナンスの在り方

チャプター1:そもそも気候変動って起きているの? 目次: はじめに 気候変動とは? 気候変動が及ぼす影響 気候変動が起きている事実 気候変動の原因 気候変動による実際の被害 経済的損失の実例     1. はじめに  途上国の貧困問題を考える上で気候変動が注目されています。気候変動によって引き起こされる自然環境の変化が農業や漁業などの出来に大きく影響したり、台風などの異常気象によって金銭的蓄えが十分ではない人の生活が脅かされる事例が増えてきたためです。こうした中、経済的弱者に対して金融サービスを提供するマイクロファイナンス機関が気候変動リスクの観点から支援を行う事例も出てきています。 「気候変動リスクに対してマイクロファイナンスができること」と題して、全3回に分けてブログを配信していきます。第1回目となる今回は、気候変動問題の概要を解説します。第2回目では、気候変動が貧困に与える影響について、そして最終回では、マイクロファイナンス機関が行う支援の例を紹介します。     2. 気候変動とは?  気候とは地球を覆う大気の平均的な状態を意味します。気候変動問題とは、大気の状態が一定期間に大きく変化していくことに起因する自然環境の変化と、それにより人間などの生物が被る様々な問題のことを言います。 大気が変化する要因は大きく分けて二つあります。エルニーニョ/ラニーニャ現象や太陽エネルギーに代表される自然要因と、温室効果ガスに代表される人為的要因です。太陽から大気が受け取ったエネルギーは大気と接する宇宙空間へ放出されることで均衡が保たれますが、近年は温室効果ガスの影響で大気からの放出が減り、大気の温度が上昇する傾向が指摘されています。     3. 気候変動が及ぼす影響  代表的な気候変動問題として、北極海海域の氷床が融解することで発生する海面上昇や、気温上昇による作物生産の減少や生態系の変化が挙げられます。また、台風などの自然災害の勢力が増したり発生頻度が高くなるといった問題も含まれます。これらの問題に対する国際的な対策の必要性が高まり、1995年から気候変動枠組条約加盟国による締約国会議(COP)が毎年開催されるようになりました。2015年のCOPで採択され、2016年に発効されたパリ協定では、温室効果ガスの削減目標等を定められ、196ヶ国が参加しています。そして、2018年には国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から「1.5℃度目標」レポートが発表されました。同レポートによれば、2018年時点の世界平均気温は産業化以前と比較して約1.0℃上昇しています。このペースの上昇が続くと仮定すると、2030年~2050年頃には1.5℃上昇し、さらに2100年には、約3~4℃上昇すると推測しています。  同レポートは、気温の上昇の度合いによって生態系や地球環境がどの様な影響を被るかについても予測しています。平均的な気温上昇が1.5℃の場合と2℃の場合で影響の差異を比較しています。0.5℃の違いですが、その影響は大きく異なります。例えば1.5℃上昇の場合、日本国内での猛暑日(35℃以上の日)の年間発生回数は12日~24日ですが、2℃上昇の場合では24日から30日になると言われています。2 また農業や食料安全保障の観点で見ると、2℃上昇の場合、最大約4億人が影響を受けますが、1.5℃に抑えられた場合には最大3600万人まで抑えられます。海の生態系を支えているサンゴ礁は、2℃上昇の場合、2100年には絶滅または99%が消滅する可能性があります。それが1.5度上昇の場合は、消滅を90%以下に抑えることができます。1   影響 1.5℃ 2℃ 水不足 現状+約5億人が水ストレス (2000年時点で38億人) 現状+約6億人が水ストレス 生態系 地表の7%で生態系が変化 (70~90%のサンゴ礁が消滅の危機) 地表の13%で生態系が変化 (99%のサンゴ礁が消滅の危機) 沿岸地域 3100~6900万人に洪水のリスク 3200~7900万人に洪水のリスク 食料 3200~3600万人に作物減産の影響 3.3~4億人に作物減産の影響 健康 35~45億人に熱波の影響 54~67億人に熱波の影響 熱病の罹患率が上昇 (IPCC 1.5℃特別報告書を参考にLiving in Peaceが作成)    同レポートでは、このような気候変動現象を最小限に抑えるための目標として、2030年までの気温上昇を産業化以前と比較して1.5°C未満、あるいはそれ以上に抑制することを掲げています。また、その目標実現のためには「2030年の温室効果ガスの排出量を、2010年と比較して約45%削減することが必須条件である」と結論付けています。1     4. 気候変動が起きている事実  では、実際にどの程度の気候変動が起こっているのでしょうか。気候の状態を観測するためには、 「平均気温偏差」を用いて大気温の変化の程度を検証することが一般的です。平均気温偏差とは、ある期間の平均気温を基準(比較基準値)として、比較対象の年の平均気温がどの程度乖離しているかを示す値です。比較基準値と比較して温度が上昇していれば温暖化の傾向があり、逆に下がっていれば寒冷化の傾向があると判断します。  2020年1月の米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)とNOAA(アメリカ海洋大気庁)の公表レポートによると、2019年は1880年の観測開始以来で2番目に温暖であったと結論付けました。3  (GISS NASAのデータを参考にLiving in Peaceが作成)4                                      また同時に公開された上記グラフによると、1951年から1980年までの平均気温を比較基準値とした場合、1980年から現在まで、徐々に気温が上昇していること、また2019年では、基準値と比べて1℃上昇していることが窺えます。     5. 気候変動の原因 (Carbon BriefよりLiving in Peaceで日訳を追記)5  このような地球規模の気候変化について、オックスフォード大学とリード大学の共同研究は、「温暖化と寒冷化を引き起こす要因は様々あるものの、現在これらは主に温室効果ガスによって引き起こされている」と結論付けています。5 上記のグラフでは、世界平均気温の変化を要因分解しています。まず気温を下げる要因として、青色の線で示されているエアゾルが挙げられます。エアロゾル自体が光を反射したり吸収したりすることにより地表へ届く太陽光を減少させる効果で地球上の気温を冷やします。一方で気温を上昇させる要因としては、赤色の線で示されている温室効果ガスが挙げられます。最も代表的な温室効果ガスは二酸化炭素ですが、その他メタンや水蒸気なども含まれます。1960年頃から温室効果ガスが急増したことに伴い、世界の平均気温(灰色の線)が大幅に上昇している様子が窺えます。     6. 気候変動による実際の被害 この記事を読んでいる方も、国内で桜の開花時期が早まっていることや夏に35℃以上を超える日が続くのが日常になっていることなどを、身近に感じていらっしゃるかもしれません。その他にも集中豪雨 (数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨) が増加しています。2010年から2019年までの集中豪雨の平均年間発生回数 (約327回) は、統計期間の最初の10年間である1976~1985年の平均年間発生回数 (約226回)と比べて、約1.4倍に増加しています。6 (気象庁のデータを参考にLiving in Peaceで作成)6 温暖化の影響は海にも及びます。地球の70%の地表を占める海は、温暖化によって発生した熱全体のうち約93%を吸収しています。そのため、海面水温が上昇します。下記の表は1981年から2010年を平年値と設定した場合の乖離を表しています。7 […]